「牡丹鍋」は、イノシシの肉を使った鍋です。
お皿の上に薄切りのイノシシ肉を花びらのように並べることからこう呼ばれます。
すき焼きや桜鍋と同じく、割下で煮て食べる料理です。
たいていはしょうゆ、またはみそ味ですが、東京風の牡丹鍋は両方を使った濃い味つけです。
縄文時代の貝塚からイノシシの骨が見つかっているところからも分かるように、イノシシは日本人が古くから食べてきた動物です。
仏教が殺生を禁じていることや、飛鳥時代に牛・馬・犬・鶏・サルの肉食が禁止されたことで、一般的に「日本では明治まで肉は食べていなかった」と思われているようです。
しかし実際はそれほど単純な話でもなく、シカとイノシシは禁止されていなかったことからその後も料理に使われていたのは知っていますか?
日本のイノシシは足が短く、雪山では早く走れないので、東北ではマタギのかっこうの獲物でした。
明治以後は牛やブタが主流になり、イノシシはすみに追いやられていますね。
しかしイノシシ肉は低カロリーで低脂肪。脂身はあっさりしていながら甘く、親戚のブタよりもおいしいんですよ。
しかも良質のたんぱく質や新陳代謝をうながすビタミンBも豊富で、疲労回復や肌の健康に効果があるのです。
食べても太りにくい良質な肉なんですね。
牡丹鍋は兵庫県の丹波篠山が本場です。
起伏に富んだ山やイノシシのえさになるドングリや栗、キノコが多いことがおいしさの秘密なんだそうです。
また岐阜県の樽見鉄道も「しし鍋」という牡丹鍋を目玉商品にしています。
「しし鍋列車」と呼ばれる列車に揺られ、景色を眺めながらしし鍋を楽しむイベントです。
